お内裏様の仕立て ひな人形のここで価格の差ができる~雛人形の選び方
ここでは、選ぶ時にどこを見ると人形がわかってくるのかを説明いたします。
人形を選ぶ時には、顔、柄、仕立、衣装の生地、生地の加工を見ます。
とりあえず、顔や、柄は好き嫌いがあるので、ぱっと見ただけではわかりにくい、どこを見れば仕立がわかるのかを説明いたします。
お内裏様の仕立て
最近はお殿様の手を抜きがちなとこが多くなってきていますので、先にお殿様を見ることにしましょう。
では、さっそく人形の後ろを手にとってのぞいて下さい。
前から見ると中は幾重にも重ねられていて手の込んだ造りをしているように思えてもみるとこを見ればわかります。
なんと重ねは中に布が1枚とダンボール紙が・・。
まあ、ダンボール紙は袖の型崩れを防ぐものなのでメーカーによっては入っていたり入ってなかったりと様々です。
しかも、袖布の端っこは絶ち切りにしてあり糸が今にもほつれそうです。
これが巷で言う価格破壊やコスト削減の結果です。
寂しいことですが、こうすることで布も余り使わなくて済みますし、何より手がかかりません。
見た目が良くて安ければいいという最近の風潮が、このような仕立のものを次々と生み出します。
袖の重ねが3枚になっています。
中袖の幅はは一番上の袖の半分くらいです。
布が絶ち切りになっています。
こちらは袖の端がきちんと折り返しされていてそれらしく見えます。
ん?ですが、一番上の袖と中の袖の幅が大分違います。
半分くらいの長さでしょうか。
前側の見えるとこだけ作ればという感じがします。
こちらも中の袖は半分くらいの幅です。
型崩れ防止の厚紙も入っています。
右のほうに見えるのは衣装のボリュームを出すための中綿です。
ほとんどの人形に入っていますがここまで剥き出しはどうかと・・。
一番上の袖との幅が揃えてあります。
きちんと造られています。
生地を存分に使い、贅沢な造りになってますね。
一番上の袖よりも少しだけ中のものが短く造られています。
こうすると袖の形のラインがきれいに出るようです。
重ねの上から2枚目を見てください。
1番上のものと同じように裏地がついています。
白が表地でオレンジが裏地です。
1番上のものに裏地がついているのは良く見ますが、ここまで丁寧に2枚目を作っているのはあまりお目にかかれません。
どうです?
袖ひとつをとって見ても様々な仕立がありますでしょう。
ようは、どれだけ手をかけて造られたかというのが表には見えない仕立としてその人形の価値をつくりだします。
続いてやはりお殿様の後ろの腰のあたりを見てみましょう。
最近、広告などで良く見かける殿の束帯(腰のところについている黒い帯)の様々について載せます。
なんとこれは、厚紙に黒い布を貼り付けて釘打ちしています。
釘の頭でも外に剥き出しになって見えるのは赤ちゃんのいるお家にはどんなものかと・・。
でも、こうすることでコストは節約できます。
しかたないといえばしかたないのでしょうね。
これは多分プラスチックに塗をかけて造ったものでしょう。
上下2本になりました。
こちらは厚紙みたいなものに加工がしてあります。
2本ある帯の内、一本が内側に入り隠れています。
素材はだんだん不明になってきましたが、黒の帯に金色の縁取りがされています。
黒い部分が合成革のようです。
紫色の裏布がつけられており厚みもあります。
これには緑色の石のようなもの(プラスチック)が取り付けられておりなかなか本格的な造りになっています。
黒い帯の端のほうには装飾の金具もついています。
2本とも外に剥き出しになっています。
あれ石がない。
と、思ってはぐって見るとありました。
こちらはさらに本格的な造りです。
材料も石(大理石?)を使っています。
本来はこのように中に隠して身につけていたそうです。
外に出して見せるといかにも造ってますって風なので外に出すところが出てきたんでしょう。
丁寧な仕立が特徴の人形はこのように中に隠しているようです。
見せびらかさなくても中まで丁寧に作っていますと人形が教えてくれます。
黒い帯は合皮です。
こちらも隠してあります。
やはり、いいものはきちんと造ってあります。
ちなみにケースにはいっている人形を後ろから取ってみました。
普通ではまず見ることのないところです。
こんな風に造っているんです。
まあ、正面からしか見ないものですからしょうがないですね。
次は殿の胸のあたりを見てみましょう。
胸には何もついていません。
そして、見た感じのまんまです。
これは刺繍がしてありますね。
またこういった衣装への加工については後ほど書きますので、今はまた別のとこを見ましょう。
緑色の表地に紫色の裏地がつけてあります。
そして、何やら入ってますね。
金、赤、白の紙を巻いて造ったものです。
こちらはさらにその中に勺が入っています。
まあ、勺はメーカーによってつけるとことつけないところがありまして、これがあるから仕立がいいとは一概にはいえません。
ものによって様々な大きさや形があります。
お殿様をひっくり返してみましょう。
前のほうに足が見えるはずです。
足に靴下を履いていますか?
これははいていない足です。
プラスチック製(最近は木製のものもある)の白い足がそのまま見えています。
こちらになると足に靴下を履いていますね。
履いているものと履いていないもの、コスト的にはその差はわずかでしょうが、その細かな気配りが全体の仕立としていろいろなとこで出てきます。
しかし、靴下はそこまで大げさに言うほどのものではないですので、履かせていないから悪いものとはいえません。
逆に履かせているからいいものですとはいいきれません。
頭の隅っこのほうにでもいれといてください。
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子どもの好奇心を閉じ込める、「さわっちゃダメ。」の言葉は、控えませんか。 おひなさまは触ってこその楽しさです。 よく手を洗ってから(大人は手袋つけて♪)一緒に組み立てることからはじめてください。 壊れたら修理もできますし、そのまま思い出としてとっておくのも良いのではないでしょうか? |
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雛人形は日本の文化です - 3月3日は女の子のひな祭り(桃の節句)で、お子様の成長を喜ぶお祝い事として日本の五節供のうちのひとつとされます。とりわけ赤ちゃんが生まれてから、最初に迎える節句を初節句といい、盛大にお祝いします。雛祭りは、緋毛氈等で区切って神聖な場所を作り、そこに雛人形を飾ってお供え物をし、女の子の邪気を払って健やかに成長してほしいと願い事をする家庭で行う小さなお祭りです。また、男の子の端午の節句には五月人形や鯉のぼりを飾ります。